非伝統的再保険、とりわけ資産集約型再保険(asset-intensive reinsurance、AIR、またはファンデッド再保険)は、各国の規制当局が特に注目する分野となっています。米国、英国、バミューダ、日本、香港の5つの法域において、規制当局は以下の点を注視しています。
- これらの取引は実質的にリスク移転を実現しているか
- 資本負担の軽減効果は基礎となるリスクに見合っているか
- 担保および裏付資産はストレス下でも実効性を維持できるか
- 出再会社はカウンターパーティの信用悪化やリキャプチャーに備えているか
規制当局の懸念には共通点がある一方、5つの法域はそれぞれ異なる規制アプローチを採っています。世界の主要な再保険法域であるバミューダでは、再保険会社に対する監督に重点が置かれています。
米国では、当初、責任準備金の十分性に焦点が当てられていましたが、現在ではリスクベース資本(risk-based capital、RBC)制度の枠組みの中で、再保険契約のリキャプチャーリスクに直接対応する方向で検討が進められています。英国では、必要資本水準の測定と、現行制度が生み出すインセンティブに焦点が置かれています。
日本では、財務再保険という狭義の法的概念を中心とした従来の枠組みから、リスク移転の有効性、担保の健全性、リキャプチャーに関するストレステスト、ならびにガバナンスを中核とする、より広範なAIR監督の枠組みへと移行しつつあります。そして香港保険業監管局の最新の提案では、一定のAIRおよびファイナイト再保険契約について事前承認を求めるとともに、担保管理、投資戦略、リキャプチャー計画、ならびに再保険会社の評価に関するガバナンスを強化することとされています。
総じて、非伝統的再保険に対する監督の枠組みは、より厳格な基準へと収斂しつつあります。各法域の違いは、規制当局が何を懸念しているかという点よりも、どのような形で監督上関与するかという点にあります。すなわち、米国は責任準備金とRBCの仕組み、英国は必要資本水準の再較正とインセンティブの構造、バミューダは取引承認と積極的な監督、日本と香港はガバナンスおよびリスク移転規律を通じた対応に、それぞれ重点を置いているといえます。
本稿では、以下の構成で解説しています。
- 資産集約型再保険とファイナイト再保険が精査される理由
- 資産集約型再保険の主要ストラクチャーと市場での活用状況
- 各地域における最近の規制動向
- 共通する論点、主な相違点と戦略的示唆
- 出再会社に求められる対応
- 独立アクチュアリーによるサポートの活用
- 今後の見通しと結びに代えて