ソーシャル・インフレーションの傾向は、特定のロングテール種目において、支払備金の悪化傾向が続いていることに最も顕著に表れています。本稿では、商業用自動車賠償責任保険(commercial auto liability、CAL)、企業向けエクセス保険およびアンブレラ保険(commercial excess and umbrella、CX&U)、ならびに医療専門職賠償責任保険(hospital professional liability、HPL)に焦点を当てます。これらの種目では、2020年にやや緩和が見られたものの、2016年以降、支払備金に重要な悪化傾向が続いています。本稿では、一部の保険数理手法が、他の手法よりも早くソーシャル・インフレーションの傾向を捉えていたかどうか、また、ソーシャル・インフレーションへの対応として損害進展係数(ディベロップメント・ファクター)に上昇トレンドを反映させることで、最終損害額の見積もり精度向上につながるかどうかを検討します。3つのコホート(CAL、CX&U、HPL)それぞれについて、以下を分析します。
- 暦年ベースの既経過保険料の年間平均規模
- 各コホートの最終損害率
- 前年末支払備金に対するグロスの増分支払備金変動
- 早期検知手法:チェーンラダー法、ボーンヒュッター=ファーガソン法、ベンクタンダー法
- バックテストから示唆されるソーシャル・インフレーションの傾向