これまでに公表しているミリマンの様々な報告を基に、本稿では、欧州のサンプルの21社が2020年末時点に開示しているソルベンシーIIベースの基準について総括し、これら基準を決定する際に採用したアプローチが2019年末から変わったかどうか、またどのように変わったのかについて考察します。2020年は、COVID-19がグローバルに流行し、いつもとは異なる年でした。そのため本稿では、各社が開示した補足的報告基準、ソルベンシーII自己資本(Solvency II Own Funds)の水準、そしてソルベンシーのポジションを見ることで、調査対象にした企業に対する感染症の影響について考察します。また、ソルベンシーII自己資本を最近の取引で合意された価格のベンチマークとして利用することの適正性について検証し、ミリマンの昨年の報告にある分析にさらに一年分のデータを加えます。最後に、最近の規制面、特に欧州保険・年金監督機構(EIOPA)が継続実施しているソルベンシーII2020年レビュー、また英国政府のソルベンシーIIレビューの進展、そしてこうした進展が欧州の保険会社が開示する基準に対して報告面、取引面で与えうる影響について考察します。
欧州における株主価値の報告:ソルベンシーIIベースの基準