あらゆる組織が、オペレーショナルリスクを保有しています。利益を目的とする企業におけるオペレーショナルプロフィットとは、その業務プロセスに関わるオペレーショナルリスクを保有することに対して、資本保有者が求めるリターンです。そのためオペレーショナルリスクは、事業の資本保有者、オペレーショナルリスクを統制する経営陣、事業の業務プロセスの一部である従業員を含む社内関係者にとって、そしてオペレーショナルリスクの管理が不備である場合に影響を受ける債権者、顧客、監督当局を含む社外関係者にとっても、主たる懸案事項です。
このように本質的なリスクであるため、ほとんどの組織がオペレーショナルリスクを強く意識しており、その多くはオペレーショナルリスクの管理・軽減がとてもうまくいっています。とはいえ、オペレーショナルリスクの評価は、特に資本フレームワークにオペレーショナルリスクを組み込む場合、まだ相対的に新しい分野です。グローバルな銀行業界では、オペレーショナルリスクに対する規制面の資本フレームワークを構築し、ここ5年から10年ほど使用しています。さらに一部の国では、保険に関する規制面の資本基準に関して同様の措置を講じています。しかし、これらの業界以外には、監督当局、業界団体、あるいは個別企業からのオペレーショナルリスクの評価に関する取り組みはほとんど見られません。
本レポートは、世界中の既存のオペレーショナルリスク評価フレームワーク、そしてこの分野における現在の手法および形成されつつある実務を調査します。