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生命保険のヘッジに対するOIS割引(英語版のみ)

16 December 2014

世界的金融危機は、マーケットにパラダイムシフトをもたらしました。これは、たとえLIBORの計算基準に用いられる短期取引レートであっても、信用リスクが内在することを市場参加者が認識し始めたためです。信用スプレッドは金融危機の間に急拡大し、その後縮小したものの、このパラダイムシフトにより金融危機以前の水準には戻っていません。デリバティブのディーラーは、キャッシュフローの割引や金利スワップの評価にますますOvernight Index Swap(OIS)レートを使用するようになってきています。多くのマーケット参加者がOISを「リスクフリー」レートのより良い測定指標であると考えるようになっています。OISレートは、米ドルに対する有効なフェデラルファンドレート、ユーロに対するEONIA、英ポンドに対するSONIA、日本円に対するTONARに対応しています。

キャッシュフローの割引や金利スワップの評価に対するOIS使用への動きにもかかわらず、マーケットは、LIBORに関連付けた変動レートのクーポンを指定し続けています。そのため、金利スワップを市場整合的基準で評価する際、伝統的な単一カーブのフレームワークではなく双対カーブのフレームワークが求められます。単一カーブから双対カーブへの評価フレームワークの移行は、市場データからLIBORカーブを構築するために使用する計算手法も変化させます。特に、市場スワップ、Eurodollar先物、FRA相場からLIBORカーブを構築するには、OISの割引カーブを基準として用いなくてはなりません。

2013 Milliman Derivatives Surveyによると、保険会社のわずか3分の一のみがリスク管理のための資産評価にOISによる割引を使用中もしくは使用する計画でした。負債については、回答者のわずか7%のみがOISによる割引に切り替える計画であり、生命保険会社の負債は、LIBOR基準の割引を用いて評価され続けると考えられます。

金利スワップにOISによる割引を使用する方向に市場が動いていることを考えると、LIBORを用いた伝統的な単一カーブのフレームワークによる金利スワップのプライシングとリスク管理を続ける金融機関は、その結果多くの課題に直面します。

  • 双対カーブのOIS評価フレームワークでは、スワップの評価が異なります。
  • LIBORの割引で計算したスワップの金利DV01は、OISで割引した同じスワップのDV01sを過小評価します。
  • 金利スワップは、LIBOR-OISのスプレッドの動きに晒されます。

Financial Stability Board(FSB、金融安定化理事会)は、2014年7月に「Reforming Major Interest Rate Benchmarks」というレポートを発行し、様々なマーケットや通貨に対する「リスクフリー」レートの複数の可能性を提案しています。規制当局が最終的にどのカーブを選択するかに関わらず、伝統的な単一カーブのLIBOR割引フレームワークは、特に、変額年金負債のヘッジに用いる金利スワップに対しては、上記理由により、もはや使用に適していないでしょう。

For further information about the implications of the changes in the marketplace relating to the use of OIS discounting and a dual-curve framework, you can request a copy of the Milliman report titled ‘OIS discounting for life insurance hedging’ issued in September 2014 by contacting:

 

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