ソルベンシーIIの見直しにより、欧州連合(EU)のサステナブル・ファイナンス政策を支える一連の新たな施策の一環として、(再)保険会社にサステナビリティ・リスク計画(sustainability risk plan、SRP)の策定が求められることになりました。欧州保険・年金監督機構(European Insurance and Occupational Pensions Authority、EIOPA)が2024年12月に、サステナビリティ・リスク計画を含むサステナビリティ・リスク管理に関する規制技術基準(Regulatory Technical Standards、RTS)案についてのコンサルテーションペーパーを公表して以降、新たなSRP要件をめぐる不確実性が残っています。
本稿は、特にアイルランド市場向けに作成されたものであり、改正ソルベンシーII指令の要件を満たすSRPの策定について考察しています。また、新たな要件と、アイルランド中央銀行(Central Bank of Ireland、CBI)が2023年3月に公表した「Guidance for (Re)Insurance Undertakings on Climate Change Risk(気候変動リスクに関する(再)保険会社向けガイダンス)」との相互関係も踏まえています。ガバナンス、重要性評価、シナリオ分析、リスク管理システムへのサステナビリティ・リスクの統合といったSRPを構成する要素の大部分が、CBIのガイダンスと大きく重なっています。アイルランドの(再)保険会社は、新たな要件への対応という点で比較的有利な立場にあると考えられますが、本稿では、SRPの策定期限である2027年1月を前に検討すべき主要ポイントについて詳述します。
本稿の主な内容は以下のとおりです。
- 背景: 指令におけるサステナビリティ・リスクの定義、既存の枠組みを拡充するというEIOPAの見解、およびSRP要件
- 改正ソルベンシーII指令: 新たなレベル1要件
- サステナビリティ要因: より広範なサステナビリティ要因に対応するため、プロセスおよびリスク評価を更新する必要性
- 適用範囲と比例原則: 法的拘束力のあるRTSが存在しない場合、気候変動リスク・エクスポージャーの重要性をどのように評価することが求められるのか
- 時間軸: 改正指令が求める、短期・中期・長期にわたる財務リスクに対するSRPの対応に関する情報
- 次のステップ: 最終RTSの公表をめぐる不確実性がある中で、アイルランドの保険事業者が新要件への準備において注力すべき領域