本稿では、2026年に発表された公開情報に基づき、シンガポールの有配当ファンドの2025年末時点の状況を振り返り、2024年末時点の状況と比較します。運用状況に加えて、ソルベンシーおよび資本についても検証します。
主なポイント:
- シンガポールの有配当ファンドの2025年の投資リターンは好調で、全社の単純平均リターンは9.35%となりました。これは、2023年の6.16%、2024年の5.37%に次ぐもので、いずれも販売用例示利率の上限である4.25%を上回っています。
- 好調な投資リターンは、配当の支払余力の改善に寄与したとみられますが、2021年および2022年の極めて低調なリターンの影響はなお残っています。
- 投資パフォーマンスが好調であったにもかかわらず、シンガポール政府証券の利回り上昇の影響により、ファンド・ソルベンシー比率(fund solvency ratios、FSR)は低下しました。
- シンガポールドル(SGD)および米ドル(USD)のイールドカーブの動きが一様でなかったこと、また通貨ヘッジに対するアプローチの違いが、FSR低下およびファンド間で確認された投資リターンの大きなばらつきの一因であると考えられます。
- 中東情勢を含む地政学的リスクによる経済的影響が懸念される中でも、株式市場は2026年に入ってから堅調に推移しており、2026年のファンド・パフォーマンスにも引き続き追い風となる可能性があります。
- 一方、イランやウクライナをめぐる地政学リスクが続く中、2026年後半の経済見通しを予測することはかなり困難になっています。